- コラム
海外取引を始めた会社が最初に確認すべき税務リスク|国際税務(源泉徴収・外国税額控除)
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- #法人税対策
- #税務調査
【この記事のポイント】
海外取引を始めた企業の多くが、
「国内取引と同じ感覚で処理してしまう」
ことによって税務リスクを抱えています。
しかし、海外子会社がない場合、実務上まず注意すべき国際課税のポイントは多くありません。
本記事では、
✅ 海外企業へ支払う際の源泉徴収
✅ 外国で課税された場合の外国税額控除
✅ 税務調査で実際に確認されるポイント
について、実務経験をもとに対話形式で解説します。
海外取引を始めたばかりの企業経営者・経理担当者の方は、まずここを押さえてください。
こんな会社は特に注意が必要です
・海外企業へ業務委託費を支払っている
・海外SaaSを利用している
・海外販売を開始した
・海外からコンサルティング収入がある
👤 社長
最近、海外との取引が増えてきました。
海外の会社に業務委託費を払ったり、逆に海外から売上が入ったりしています。
正直なところ、
「海外でも普通の取引と同じですよね?」
と思っているのですが…。
🧑💼 税理士
実は、多くの会社がそこで最初のミスをします。
海外取引は特別な税制がたくさんあるように見えますが、
海外子会社がない会社の場合、注意点はほぼ2つです。
👤 社長
え、そんなに少ないんですか?
🧑💼 税理士
はい。まずはこちらです。
✅ 外国へ支払うときの源泉徴収
✅ 外国で税金を引かれたときの外国税額控除
この2つです。
① 海外へ支払うときの源泉徴収
👤 社長
海外の会社に支払うだけで税金が関係するんですか?
🧑💼 税理士
場合によっては、日本で税金を天引きしなければなりません。
例えば次のような支払です。
・海外企業へのロイヤルティ
・技術サービス料
・使用料
・一定の人的役務提供
この場合、
支払う日本企業が税金を預かって納付する義務があります。
👤 社長
それって相手の税金ですよね?
🧑💼 税理士
その通りです。
ただし重要なのはここです。
⚠ 納税責任は支払った日本企業側に来ます。
つまり、
・源泉徴収を忘れた
・税率を間違えた
場合、
後から日本法人が追徴されます。
「海外送金一覧を見るだけ」
で確認できるため、
非常に調査されやすいポイントで、海外送金の源泉徴収漏れは税務調査で後から数百万円規模の追徴になるケースも少なくありません。
BASE ONE税理士法人でも、海外送金に関する源泉徴収の要否判断や租税条約の適用について、ご相談をいただくケースが非常に多いポイントです。
👤 社長
それは怖いですね…。
🧑💼 税理士
さらに難しいのが、
ここでは日本の税法だけではなく
租税条約が関係することです。
国によって税率が変わります。
例えば:
・10%
・0%
・免除
などケースが分かれます。
② 外国で税金を引かれた場合(外国税額控除)
👤 社長
逆に海外から売上をもらう場合はどうですか?
🧑💼 税理士
こちらも非常に多い論点です。
海外ではこうなります。
海外顧客
↓
税金を天引き
↓
日本企業へ送金
つまり、
海外で既に税金を払わされている状態です。
👤 社長
でも日本でも法人税払いますよね?
🧑💼 税理士
はい。
そのままだと二重課税になります。
そこで使うのが
✅ 外国税額控除
です。
外国で払った税金を
日本の法人税から差し引く制度です。
👤 社長
じゃあ問題ないですね?
🧑💼 税理士
実務ではここもよく漏れます。
理由は簡単で、
・証明書がない
・源泉税の内容が不明
・契約書が曖昧
というケースが多いからです。
結果として、
控除できず税金を二重に払う会社もあります。
👤 社長
海外子会社がなければ、この2つを見ればいい?
🧑💼 税理士
はい、国際課税という意味では、ほぼその理解で問題ありません。
実は、海外取引だからといって、
すべてが特別な税務になるわけではありません。
例えば、
・外国に支払った費用が本当に会社の経費(損金)になるか
・海外で得た収益が適切に売上(益金)として計上されているか
といった点は、国内取引と基本的に同じ考え方です。
👤 社長
海外だから特別に難しくなるわけではないんですね。
🧑💼 税理士
そうですね。
税務調査でも実際には、
・売上や費用の計上漏れがないか
・取引の実態があるか
・計上時期が適切か(いわゆる期ずれ)
といった点は、国内取引と同じ視点で確認されます。
海外取引の場合は、
取引先へ直接確認が難しいため、
日本側に残っている
・契約書
・請求書
・メールなどの通信記録
がより細かく確認される傾向があります。
🧑💼 税理士(続けて)
その意味では、
「海外取引だから特別な税務がたくさんある」
というより、
✅ 源泉徴収
✅ 外国税額控除
この2点を押さえたうえで、
あとは国内取引と同じ基本を丁寧に管理することが重要です。
👉 次回(第2回)
海外子会社を持つと世界が変わります。
・タックスヘイブン対策税制
・移転価格税制
・寄附金認定リスク
・国税当局が本当に見ているポイント
を解説します。
海外取引の税務でお困りの方へ
海外企業との取引では、
・源泉徴収の要否判断
・租税条約の適用確認
・外国税額控除の整理
・契約内容と税務リスクの検証
など、取引開始時点での整理が重要になります。
BASE ONE税理士法人では、
外資系企業・海外取引を行う企業向けに国際税務サポートを行っています。
✔ 海外送金時の源泉徴収チェック
✔ 国際税務リスク診断
✔ 外資系対応・英語対応
なども対応可能です。
海外取引を開始された段階でのご相談が、最もリスクを防ぐことにつながります。